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ミクロブラキウス Microbrachius dicki
ミクロブラキウス No.1
ミクロブラキウス・ディッキ(Microbrachius dicki)はデボン紀中期の絶滅魚類で、頭部・胴部に鎧のような甲皮をまとう板皮類(placoderm)の中のグループ antiarch類に分類される小型の魚類である 1)。甲皮は約 3cm程度(参考文献1の図3上で計測)なので、全体長を推定すると8〜10cm程度と思われる。
ミクロブラキウス・ディッキは、エストニアの他にスコットランド 1), 2)から、またベラルーシのデボン紀中期地層からはM. dickiに非常に近い別種(Microbrachius kedoae)も見つかっている 3)
ミクロブラキウス No.2
ミクロブラキウスは河川や湖の堆積層から見つかっており 2)、淡水環境に生育していたと思われる。ただ、他のantiarchでは海水生のものもあり、あるいは河口付近などの汽水域も生息域に含まれるかもしれない。
ボトリオレピス(Bothriolepis同様、頭部腹側に口が開口していたことから、食性もボトリオレピスと同じように、水底の堆積物中に生育する無脊椎動物を捕食したり、堆積物中の有機物を摂取していたのではないかと思われる。
ミクロブラキウス No.3
ミクロブラキウスの生殖器官はその外観が雌雄で異なり(性的二形)、雄はL字状の交接器(クラスパー)を持っていることから、体内受精をしていたということになる 1)。雌雄はダンスを踊るように互いに相手の横に並び、腕組みをしながら交接していた姿が、仮説として提案されている 1)
ミクロブラキウス #04
顎口類(顎を持つ脊椎動物)の体内受精は体外受精の後で進化してきたと考えられてきたが、ミクロブラキウスが顎口類基底部のメンバーであることを考えると、このミクロブラキウスの交接は、脊椎動物の生殖の進化の道筋を考える上で、また板皮類の系統・分類を考える上でも新たな課題を投げかけるものである 1)
ミクロブラキウス 雄
雄:腹側の後方側プレート(posterior ventrolateral plate)にクラスパー(clasper)が付いている。
尾鰭の先端に婚姻色(bleeding color)を配してみた。
ミクロブラキウス 雌
雌:雄のクラスパーの位置に生殖のための皮骨板(genital plate)が付いている。
2022年4月 - 6月 制作
体の後半部については、Bothriolepisの資料 (Béchard et al, 2014) を参考にした。
参考文献・サイト:
  1. Long JA, Mark-Kurik E, Johanson Z, Lee MSY, Young GC, Min Z, Ahlberg PE, Newman M, Jones R, Blaauwen J, Choo B, Trinajstic K (2015, Published 2014) Copulation in antiarch placoderms and the origin of gnathostome internal fertilization. [abstract only] Nature 517, 196-199. (DOI: 10.1038/nature13825). (The full-text was referred to ResearchGate.)
  2. Long JA, Mark-Kurik E, Johanson Z, Lee MSY, Young GC, Min Z, Ahlberg PE, Newman M, Jones R, Blaauwen J, Choo B, Trinajstic K (2015, Published 2014) Supplementary Information for "Copulation in antiarch Placoderms etc:" nature13825-s1. (or, ResearchGate
  3. Mark-Kurik E, Newman MJ, Toom U, Blaauwen JLD (2018) A new species of the antiarch Microbrachius from the Middle Devonian (Givetian) of Belarus. Estonian Journal of Earth Sciences 67(1) 3-13. (DOI: 10.3176/earth.2017.22.)