三共堤・丸田沢堤の自然
三共堤パノラマ
概要
堤・公園
三共堤・丸田沢堤は,名前の通り「堤」,すなわち,谷間を流れる沢などを人工的に堰き止めるために作った堰堤であり,その堰堤でできた人工の沼のことである。その歴史や関連情報は仙台市の情報「わがまち緑の名所100選」を参照していただきたい。丸田沢堤・三共堤から出た水は,七北田川支流の高柳川を作り本流とは八乙女で合流する。丸田沢堤の東側,三共堤の北側にはキャンプ場や芝の斜面・広場があり,沼を囲む森とともに「水の森公園」として整備されている。
普段の公園では,お孫さんとおばあちゃん・おじいちゃん,まだお尻の辺りがすっきりしていないお子さんとお父さん・お母さん,そういった人たちの静かで大切な時間がゆっくりと流れている。犬を散歩させる人,自然散策や健康のためのウォーキングをする人,ランニングをする人もいる。しかし,休日ともなるとキャンプ場も芝の斜面も家族連れで賑わい,大勢の子供たちが走り回る。駐車場は朝早目に来ない限り満車となって列を作る。さすがに冬季は利用者も少なくなるが,雪の降った次の日はソリを持った親子がたくさん遊びに来る。むしろ大人の方が童心に返ってはしゃぐほどである。冬の公園はむしろ丸太沢堤の方が訪れる人が多いかもしれない。いつの間にか白鳥や多くの鴨類が冬を過ごすようになり,それを楽しみに毎日沼を訪れるお年寄りもいるようだ。
自然
水の森公園地図
水の森公園地図 公園の入口にある案内板をもとに作成したものであるが,一部改変してある。地図内の植生は印象として多く見られる樹種を表示したもので,正確な植生調査に基づくものではない。また,スケールもおおよその数字である。三共堤の上には2系統の高圧送電線が横断しており,航空写真で見るとその下の植物の成長が管理されているため,帯状の模様として見ることができる。この航空写真は国土地理院地図・空中写真閲覧サービスを利用したものである。
沼を囲む山林は自然休養林であり,林野庁東北森林管理局仙台森林管理署の管轄である。コナラ,アカマツ,スギを主体とし,モミ,ヒノキなどの針葉樹も見られるが,やはりサクラ,カエデ,リョウブ,アオハダなど多くの落葉樹が生育している。シジュウカラ,ヒヨドリの他,渡り鳥も多く,季節毎に鳥のさえずりが絶えない。また,丸田沢堤には白鳥をはじめ多くの冬鳥が訪れる(なぜか三共堤には白鳥は降りない)。
森の中に作られている遊歩道はほぼ土のままであり,三共堤の周囲を巡る探勝路は木の根を階段にして上り下りするような少し山登り気分を味わえる道である。実際は,芝の公園部分で標高30mほど,林内の最高部でも80m程度,沼の水面から考えると40m程の上り下りであるが,雨の後は足元もぬかるむので甘く見ると滑って転ぶ危険性もある。どのコースを何を目的として歩くか,またそれぞれの歩く速さにもよるが1周1時間から2時間ほどの遊歩道である。
季節ごとさまざまな動植物が見せる自然の姿をゆっくり楽しむこともできるが,梅雨のころから秋にかけてはヤブ蚊などがまとわりついてくるし,場所によってはウルシに気をつける必要もある。また,ヤマカガシといった毒ヘビ,スズメバチなども生息しており,ウルシ以外の有毒植物も数多く生育している。道を踏み外せば沼に落ちる可能性もある。自然が大好きと言う人は多いが,実際のところ自然は危険であり不快であったりする。
団地に囲まれていながらそういった「自然」が残っており,まさに「身近な自然」となっている。
「自然」とカッコ付きで書いたのは,1つは人の手によって管理されており,また人の手が入っているからであり,当然もう1つは,撹乱が相当進んでいるからである。
土の残った遊歩道と書いたが,一部はアスファルトや砂利が敷かれ,偽木の柵や段差を支える金属の枠が設けられている所もある。時に下草刈りも行われており,送電線の下は定期的に伐採や枝の刈り取りが行われている。人の手による移入・移出も行われている。当然のことながら決して手付かずの「自然」では,まったくない。
住宅地からは雨水がゴミを誘い合わせて沼に流れ込み,水鳥の隣にはポリ容器なども浮いている。水質は富栄養化が進み,夏はヒシが相当な範囲を覆うようになる。
住宅地に囲まれ多くの人が利用している以上,外来種が侵入するのは必至で,驚いたことにキウイやトマトまで顔を出している。風や鳥のせいかもしれないし,人の手によるものかもしれない。散策路脇は多くの「雑草」とともに,先駆的な低木類が多数見られ藪を形成している。森の中では先駆種的なマメ科樹木のニセアカシアフジネムノキなどまだ少ないが,アカマツは多数生育し,かつマツ枯れもあちこちで見られる。
一方で,普段目にする機会が減った多くの動植物が暮らしており,貴重な「自然」と言えるだろう。実は,「自然」とは何か,人はどう関わっていけばいいのかを考えるための「身近な教材」でもあるということだ。
そういったことを考えながら,でもまずはゆっくりと観察したい。歩くたびに新しいものが見えてくるせっかくの「身近な自然」である。奪わず,残さず,そうありたい。
支える人々
公園を管理している方,森林管理局の方はもちろん,下草の除草,病気になった松等の伐採をしてくれている業者さん,近隣の消防署・消防団の皆さん,公園の隣に位置する仙台市立北仙台小学校の子供たち,その他多くの人々がこの公園を支えている。
--- このページについて ---
ここでは,三共堤を巡る遊歩道を散策しながら撮影した植物や動物の写真を紹介している。生物の分類・同定等については少なからず間違いがあるかもしれない。ご指摘・ご助言等あれば,以下のアドレスまでメールをお寄せいただきたい。インターネット上には多くの情報があるので,個々の生物の形態・生態等,図鑑のような説明にはあまり触れず、個人の印象・感想をメモ程度に添えた。
ご助言・ご感想は、 felt@paleoaqua.jp まで。
ここに公開した生物・風景等の写真は,公園内を散策する際に遊歩道から撮影したものであり,すべてオリジナルである(個別に出典を記述したものは除く)。どれもサイズと解像度を変更した他,一部は切り出し処理(トリミング),明るさやその対比の程度(コントラスト)の変更,強調処理等を行っている。とりわけ,鳥類の写真はほぼすべてでトリミングを行っている。各写真の撮影年月日は,画像ファイル名に数字として埋め込んである。
樹木の多くは,公園内の木に表示してある名標を参考にした。 生物の同定、学名,および特徴などについて参考にさせていただいたページは多数あるので、主なサイトのみを以下にまとめた。