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三葉虫 Trilobite
三葉虫 #01
三葉虫は、古生代に生きていた海生節足動物の一グループである。古生代の示準化石としても知られている 1), 2), 3)
三葉虫は、非常に大きなグループの三葉虫綱を作っていて、10の目、150以上の科、5,000以上の属、20,000以上の種からなる 1)
三葉虫 #04
三葉虫は古生代カンブリア紀初期(約5億2,000万年前)に出現し、カンブリア紀オルドビス紀で繁栄し、その後ペルム紀末期まで徐々に衰退し、ペルム紀最後の大絶滅(2億5,100万年前)で消滅した 1)
三葉虫は(恐竜よりも長い)3億年近くも生存していたにもかかわらず、同様な体制を共有し続け、その枠組みを維持したままで多様化していった 2)
三葉虫 #03
三葉虫は、カンブリア紀の他の動物たちと異なり、19世紀末までにはすでに節足動物に属すると考えられていた 3)
三葉虫が出現した5億2,100万年前には、三葉虫はすでに発達した複眼や、節足動物の特徴、例えば、硬い無機化(石灰化)した外骨格、関節でつながった体節や多関節、などを備えていた 2)。しかし、節足動物内での類縁関係については依然議論が行われている 3)
三葉虫 #10
三葉虫の体は、縦に3つの部分、中心部とその両側の部分に分けて考えられ、このことが「三葉虫」という名称のもとになっている 1), 2), 3)。しかし、どうしても別の3つの部分、つまり、後に伸びる棘を持った兜状の頭部、多数の体節からなる胴体、後方の平らな尾板、に注目してしまうかもしれない。
三葉虫 #20
ほとんどの三葉虫は2.5cmほどの体長だが、種によって1cm以下から70cm以上までと幅は広い 1), 2)
頭部の中央は"glabella"と呼ばれ膨らんでいるが、この"glabella"の両脇に複眼がある。触覚は頭部腹面から前方に伸びている。"hypostome"という口器も頭部腹面にある 3)
三葉虫 #30
胴体部は一般に6〜15の体節からなり、各体節には背側の肋骨状の外骨格の下に二叉型付属肢がついている。外側の外肢は鰓がつき、内側の内肢は歩脚となっている 1), 3)。外肢・内肢がつながる基部は棘のついた大きく強力な節で、食物を切り刻む役割をしている。つぶされた食物は、"hypostome"の後端にある口に向けて運ばれる 1), 3)
尾部はいくつかの体節が融合したものである 1), 3)
三葉虫 #02
三葉虫は、淡水を除くさまざまな水環境から発見されている。彼らの食性もまた多様である。一般には底生の、より小さな無脊椎動物を食べる捕食者か、有機残渣を食べる腐食性と考えられているが、中には、堆積物から栄養を得たり、濾過食だったものもいたかもしれない 1)
三葉虫 #05
三葉虫の痕跡化石がカンブリア紀初期地層の干潟堆積層から見つかっている。ここには周期的に乾燥していた場所を思わせすひび割れも存在していた 4)。これが何を意味するかというと、三葉虫はすでにカンブリア紀の段階で陸上に進出していたということである。陸上動物は淡水ではなく海に暮らしていた祖先から進化した可能性があるということであり 4)、三葉虫はそのさきがけだったかもしれない。
三葉虫
ここで製作した三葉虫には、具体的なモデルとした種、属などはないが、あえて挙げるなら、プロエトゥス目(Proetida)であろうか。プロエトゥス目であればオルドビス紀からペルム紀の三葉虫ということになる 1)
2017年1月 - 2月 制作
参考文献・サイト:
  1. A Guide to the Orders of Trilobites
  2. American Museum of Naturla History Trilobite Website
  3. Australian Museum What are trilobites ?
  4. Mángano MG, Buatois LA, Astini R, Rindsberg AK (2014) Trilobites in early Cambrian tidal flats and the landward expansion of the Cambrian explosion. [abstract] Geology 42(2):143–146. (DOI:10.1130/G34980.1.)